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本が読まれなくなり、テレビさえ見捨てられ、いまや若者たちの大半は、スマートフォンから情報を仕入れるようになった、といわれています。そんな時代に、文学などという古めかしい文化はもう受け入れられないのではないか。そんな危惧も、拡がっているようです。確かに、古い世代に馴染みの深い作家たちの名前を若者たちに告げても「聞いたこともない」という返事がかえってくるだけです。けれども、「一つ前の古い時代に読まれた作家」が次の時代に読まれなくなる、ということは、歴史上、繰り返し起こったことでした。また、かつてはテレビがラジオを駆逐し、マンガが子どもたちを愚かにすると、いわれたものです。けれども、いまでもまだラジオは存在し続け、マンガで育った世代が文化の中心になっています。文学もまた、おそらくは、形を変えながら、その時代にふさわしい何かを生み続けるのではないか。わたしはそう信じています。なぜなら、文学(あるいは小説)こそ、芸術の世界の新参者であって、歴史の上では生れたばかりといってもいいものだからです。
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