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更新日:2018年11月30日

写真今昔物語 第27話

魚籃坂(ぎょらんざか)

三田四丁目と高輪一丁目の境を北から南へ上る魚籃坂(ぎょらんざか)。承応元(1652)年に創建された魚籃寺が坂の中腹にあることから、この名が付きました。魚籃とは魚を入れる竹籠のこと。ご本尊が魚籃を持つ観音像であることにちなみ、お寺の名前になりました。

「私が子どもの頃(昭和20年代)は、坂の上から海が見えました。木炭車が坂を上り切れなくて、後ろから押してあげたりもしましたね。時々お駄賃がもらえて、それで紙芝居のお菓子を買うことができました」と山田智之・魚籃寺住職は懐かしみます。

写真が撮られた昭和44(1969)年頃は、ちょうど都電が廃止になる頃。「この辺りは、魚籃坂を都電の7番が通り、坂下の交差点で4番・5番の都電と交差する交通の要所。都電はバスよりもずっと身近な交通手段でしたよ。ただ、魚籃坂下は大雨が降ると浸水しやすくて、都電はすぐに通れなくなりましたね。坂下のお店は、台の上に商品を陳列して、20センチから30センチ浸水しても品物がぬれないように工夫していました」と当時を振り返ります。

「街並みは変わりましたが、今でもこの辺りには緑がたくさん残っています。うちの木も港区から保護樹木の指定を受けていますが、行政に後押ししてもらえるのはありがたいこと。皆で木を残そうという意識が芽生えるきっかけにもなっていると思います。ヘビもいる、カエルもいる、春にはウグイスも来る。この地が好きです。これからも変わらないでほしいですね」とほほ笑む山田住職。笑顔の前をシオカラトンボが通り過ぎました。

昭和44(1969)年

平成28(2016)年

※写真の無断転載は禁じます。

お話しくださった人

魚籃寺住職 山田 智之さん

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